ストームブリンガー

土地バブルが崩壊してないらしい。崩壊しないのはバブルじゃないだろうけど。

大通りの立派な旧家が売りに出てるよ。2000万円で。
俺は買い物をしたことが無いんで、家とか土地の値段はさっぱり分からないんだけど、どうやら『ちょっと高すぎる物件』らしい。
町で一番地価の高い所&旧家ってことでプレミアが付いてるんだろうけど、流行らない門前町・商店街としてはプレミア付空き家なんて不良在庫だよなぁ。
この家に限らずこの町には「100%食いっぱぐれない大地主」ばかりいるから、土地に市場原理が働かない。金と勢いがあって町に未練の無い奴は、みんな砺波に、あるいはもっと都会に行ってしまう。それでも年寄り住民が地代を払ってくれる限り値は崩れない。
地主はみんな「土地は金を生み出す」と思っているから、絶対に土地は売らない。だから、この町には地主と家主が違う、築ウン十年で車庫も無い、更地にする他ニッチもサッチも行かない物件がゴロゴロある。中には、地主は死んで跡継ぎは大阪や東京なんていう郷土愛に訴えようの無いものもある。
それでも地主は土地を売らない。町民が一人でも生き残っている限り年貢が入るから。地元に活気を生み出す博打に張るより儲かるからだ。
(残っているのは年寄りと、未練持ちと、立ち往生と、町の名前で飯を食っている俺たちだけだ)
いかにも富山県人らしい。石と鋼で出来た経済感覚だ。
そして石と鋼の世界に、混沌の活況が生まれるはずが無い。