第一作

読み切り復活した「究極超人あ〜る」を記念して、TVの取材が来ても出したことがない、マンガ彫刻第一作を公開。




19歳、修業一年目の作品。
今見ると修行中らしい、ひっどい仕事だよ。ノミは切れてないし人体も服も滅茶苦茶、工程も考えてないから傷だらけゴミだらけだわ。でも、それでよくも作ったもんだよ。
夜中に作っている俺を見ても師匠は何も言わなかった。というか「時間があれば彫刻しろ」「ノミを切らせ」「どんな仕事でも受けろ」が師匠の極意だから、タブーとか無かったから。
1991年にOVAが発売され、記念イベントに参加するため初上京。急行能登に乗り九段会館まで。声優さんを見たのも山本正之さんの歌を聞いたのも初めてだった。同人誌即売会も行ったこと無かった(はずだ)からアニメイベント自体も初参加か。帰りに古本のメッカ神保町に寄り日帰り帰郷。
今や能登はなく、九段会館は大震災で天井が落ち閉館。参加声優さんも塩沢兼人青野武春風亭柳昇鈴置洋孝長谷有洋の五氏が鬼籍に入られた。
この後、兄弟子は再三「アニメ彫刻、作っていけよ」と勧めるが、ひん曲がったオタクの俺は頑なに断った。オタクは陰で楽しむものだったから。でも。もし言われたようにアニメ彫刻に全力で舵を切っていたら、今頃は……
いや、このifは意味が無い。意味があるのは、もう最初からこのルートだった過去と、まだアニメ彫刻が出来る環境にいる現在。そして明日、俺に彫刻をする時間が有ることだ。





そうか。
これが原点に戻るってやつか。





少年の夢は生きている 幾年すぎても生きている
橋を渡り
山を越えて
海に出会っても
深く 深く 胸に生きている