漢字【鬱】

ユウウツのウツという字は
木を書いて缶を書いて
その横にまた木を書いて
その下にワ冠を書いて　
その下に米という字が斜めになった奴の右と左と下を囲って
その下に片仮名のヒを書いて　
その右にチョンチョンチョンと書くのよ♪
（嘉門達夫『鬱』）
そんな漢字が障碍のガイの字を出し抜いて常用漢字入りとか。
話し替わって。疲れるほどに物忘れが酷くなるんで適当にググってたら見つけた、鬱関連のページ。
うつ病で、記憶障害になってしまった彼。彼の記憶は戻すこと... - Yahoo!知恵袋
なに、この……ストーカー姉ちゃん……これフィクション？
精神的な病のややこしい点は、患者の常識が崩れてしまってるところにある。
全ての経験、全ての知識、全ての感情。そんな心の拠り所はゲシュタルト崩壊してトコロテンになり、全ての価値観は裏返って、知覚不能な世界を無限に落ちていく…落ちていくと思っていること自体がすでに間違っている、まっくら森。

誤解を招く表現になるかもしれんが、まっくら森の住民になってしまったら、それは昨日までの「彼」じゃない。SFっぽく言えば、異界の森を地球人のまま開墾して住み着いたんではなく、森に順化しアチラ側の生き物になることで死を免れた、改造人間だ。ある意味異種族。ある意味モンスター。差別的な意味じゃないが、彼らとは昨日と100%同じように付き合うことは難しい。笑顔も差し伸べた手も、友好を示すのはコチラの世界の常識でしかないのだから。
記憶を持っているのは正常で、失ってるのは欠損なのか？　普通なら正しいが、彼が森の住民なら話は違う。彼はうつ病を、記憶を欠損することで補っている。「ニンゲンらしい記憶」という価値が逆転してるのだ。
そんな森でしか生きられない人と付き合うのに、その森を切り開いて苦悩と自殺の記憶を白日の下に晒すのは、残酷極まりないんだがな。
この女も、他人の行動やアドバイスより、自分が男と暮らす幸せばかりに気がいってるみたいだから、ちょいとパラノイアがかってるかも。

なんかややっこしい話になってきたんでここまで。