ただ繰り返すだけってどうなのよ

先週、フライデーに児童が被害者の凶悪犯罪が特集組まれていたけど、当然最初は宮崎勤で、その記事が全く昔のままの焼き直しだった。
宮崎が精神鑑定を受けた、一番ホットな時期の記事とほとんど変っていない。あれから何年も経ったのに、これじゃあ事件は何も解明してないみたいじゃないか。
それと「ビデオ6千本」が児童殺人と併記してあって、まるでその全てが異常行動みたいに書かれているけど、実はこの6千本にロリとか殺人とか、そういうアナーキーな物がどれだけ含まれていたのかあまり知られていない。俺の聞いた話には、彼のコレクションは動画交換用のものだったってのがあり、つまり一時期流行ったP2Pとか、いま動画サイトに上がってくる懐かしVTRのコレクターと一緒の趣味と言う事になる。いま、彼に匹敵するくらいのDVD持っている人ってザラにいるんじゃないの? 
当時のセンセーショナルな空気だけ伝えても意味が無い……ゴシップ雑誌だから程度が低い記事なのはしょうがないのかなあ? それでももう少し書き様が有ると思うだけど。
関連:読売ウイークリーブログで削除された、当時の真相の一部

2005/11/12

女子高生がタリウムを母親に飲ませたかと思えば、 今日は同級生の女の子を殺した疑いで高1の男子が逮捕。 いったい、どうなっているのでしょう。 とても理解できません。

10年ほど社会部にいたので随分事件取材もやらされました。 警視庁記者クラブでは、 詐欺とか汚職などの知能犯を扱う捜査2課の担当だったせいで、 その後もそんな事件ばかり取材しました。 知能犯ですから、頭を使った犯罪なのですが、 動機はほとんどが「お金」。 その点では、大変わかりやすいのです。
理解不能と思った事件も、多くはありませんが、経験しました。 忘れられないのは、平成元年の「宮崎勤事件」です。 幼女4人の連続誘拐殺人。 オウム以前の、戦後最大の事件かもしれません。

ビデオテープで埋まった宮崎勤の部屋の映像を覚えている方も多いと思います。 実は、事件後あの部屋に初めて入ったのは私です。 宮崎勤が逮捕されたという一報で、 五日市町の彼の自宅に急行しました。
なんと、まだ警察官も来ていなくて、 3−4人の他社の記者が彼の両親を取り囲んで話していました。 そのうち、だれかが彼の部屋を見せてほしい、と言ったところ、 彼の父親はどうぞ、どうぞ。 母屋から彼の部屋には幅30センチほどの板が通路代わりに渡されていました。 幅が狭いので一人ずつ渡ることになり、 5,6人の記者でじゃんけん。 で、私が一番になった、というわけです。

部屋に一歩入ったときのことは忘れられません。 窓がなくて薄暗く、 四方の壁面がすべてビデオテープで埋め尽くされていたのです。 テレビとビデオデッキが3−4台あったと記憶しています。 そんな部屋は見たことありません。 まさに「理解不能」でした。
おそらく、あの部屋の映像を覚えておられる方は、 あのビデオはみんな、アダルトとか盗撮とかロリータとかそんな類のものだと思っているのではないでしょうか。 実は違うのです。 大慌てで、ビデオのタイトルを写したのですが、 ほとんどは「男どあほう甲子園」とか「ドカベン」といった、 ごく普通のアニメばかりでした。 その中に、おぞましい映像が入ったビデオも含まれていたのですが、 少なくともそれはごく一部だったのです。

なぜ、そういうイメージが伝わってしまったか、 については理由があります。 部屋の隅には、数十冊の雑誌の山がありました。 どんな雑誌かももちろん確認しました。 大半は、「GORO」「スコラ」です。 20代の男性としては、ごくごく普通でしょう。
その中に「若奥様の生下着」という漫画が1冊ありました。 ある民放のカメラクルーがそれを抜き取って、 一番上に重ねて撮影したのです。 それで、あの雑誌の山が全部、さらにビデオもほとんどがそういう類のものだという、 誤ったイメージが流れてしまったのです。

ま、犯した犯罪からすれば、そのくらいは誤解されても仕方がないかもしれませんが、 それでもやっぱり、事実とは違ったのです。 高校生逮捕の夕刊を見て、 そんなことを思い出しました。 (苦悶デスクこと・木村透