自殺考4

死に魅入られたと書けば綺麗だが、早い話が自殺ブームなのだ。天国行きの格安チケットが手に入ったとばかりに我先に死んでいく。
あれだけ世間を騒がせた東京の自殺予告はどうなったんだろう。もしも彼(彼女)が死んでいないなら、石原知事の言動は「間違いではなかった」と言うことなのか。
知事の発言にネット住民のいくらかは「よく言った」と肯定的だったが、あれは都知事としての英断だったからではなく、「さすが石原だ。おれたちの言いたいことを事を平然と言ってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!」てな調子なんだろう。前にも書いたが自殺を止める有効な手段は無いし、現時点の技術でどれだけパトロールを強化しようが、死ぬ方は簡単なのだ。
オマケに匿名の自殺予告なんてシロモノは信憑性が薄いし、まして次の手紙には「お前の発言でやっぱり死ぬ」だの「これは挑戦です」なんて大人を舐めくさったことを書いていては肩を持つ気にもなれん。
ただ、イタズラ説も流れるあの手紙は、中学生らしい行動だと思った。歌にもあるとおり「弱い者たちは夕暮れ 更に弱い者を叩く」。見境なく攻撃的なのは大抵追い詰められている奴だ(いじめる側は「好戦的」やね)。自殺に打つ手のない(つまり自分の行動を止められない=弱者である)都にけんかを吹っかけているのはいかにも中学生らしいやり方ではなかったか。
ところで、2週間ばかり前に文部科学省から大臣名義で面白い発言があった。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06110713.htm
これ、要約すると「俺たち以外に頼れ」ってことだよな。あまりに気味が悪かったんで抗議メール送っておいた。
いじめられている奴が欲しがっているのは、「いつか救われるよ」って云う物語じゃなくて救世主そのものなんだが。そしてメシアがいないからThe end of the worldに走っている現状を、権力を持っているはずの役人は全く判っていない。
これと似た内容の広告が公共広告機構にも有った。

「シンデレラは一人で掃除をしました。お終い」
「王子様は魔女の魔法でカエルにされてしまいました。お終い」
「アヒルの子供の中に一羽だけ醜い灰色の子供がいました。お終い」
本を閉じた少女は屋上のフェンスを乗り越える。するとシンデレラとカエルとアヒルの子が現れて
「まだお話は始まったばかりだよ。最後まで読んで!」

馬鹿げている。なぜ最後まで読まなければいけないのか。死ぬのに忙しい奴は読んでる暇などないのだ。第一ハッピーエンドが判っている奴の言葉が一体どれだけ支えになるというのか。


長くなったのでここまで。