初笑い

CiCで開かれた寄席に行ってきた。山越えはなかなかスリリング。
出し物は

  • 老け顔の前座(聞きそびれた)
  • 三遊亭全楽「初天神
  • 神田ひまわり「山内一豊 出世の馬揃え」
  • 三遊亭良楽「夢金」

全楽師匠とひまわり師匠は東京から来るのに相当手間取ったようで。
初天神」は天神様に初詣する親子が色んな屋台にチョッカイかけていく噺で、いかにも初笑いらしい出し物。団子に付いた蜜を舐めたりと面白い動作がポイントで、TV映えもする噺だが、全楽師匠はそこよりも親子の会話に重点を置いて、これはややしつこい感じ。
講談は基本的に笑う所は少ないのだが、ひまわり師匠(講談師は「師匠」でいいのか?)は枕の部分で上手に盛り上げて話に入っていくのがよかった。「山内一豊 出世の馬揃え」は貧乏侍の山内が名馬を買えずに落胆していたところ、女房がこれぞ夫の一大事と工面する話。本筋も無論面白かったが「続きは明日のNHKで」と来られたのは笑った。
良楽師匠はトリだが、前二人と比べるとやや落ちる。枕の自虐ネタも不発だった(正月から景気の悪い話をされても)し、出し物が「夢金」か……俺、あまり好きじゃないんだよなぁ。

船頭の熊蔵は、寝言でも銭勘定するほど金に汚い男。
ある雪の夜、酒手(ボーナス)を弾むからと言われて乗せたのは、曰くありげな浪人といいところの娘。ところが娘が眠っているうちに浪人が持ちかけてきたのは
「この娘は大金を持っているようだ。騙してここまで連れてきたので、殺して金を奪おう。少しは分けてやる」
少しで人殺しの片棒が担げるか。金は山分けだ、奉行の調べの入る舟よりもあっちの中州で殺してしまおう。とそこまで話をあわせておいて、中洲に浪人を下ろした途端、熊蔵の舟は娘を連れて逃げ出した。
無事に娘を家に送るとそこは立派な商家。話を聞いた両親は感謝してお礼の小判を差し出した。熊蔵包みを破いて
「百両〜っ、二百両〜っ!」
「コラ熊っ!寝言で銭なんか数えてるんじゃねぇ!」
「……あぁ、夢か」

この最後の「……ああ夢か」がなんとも締まらない。本来は下ネタオチらしいので放送ならぬ寄席ではそっちのほうが聞きたかったのだが。