11月

季節が変わるのは本当に早いです。体内カレンダーが追いつきません。6月とか9月とか、へんなところにばかり戻っています。
夕方に外に出ると、刈り取られた田んぼに紫がかった夕日が差していて、これが直に白い泥のような雪に覆われるのかと思うと寂滅とした気になります。
もう7・8年も前か、友人の一人がこの季節に亡くなりました。
当時は、理性的な(少なくとも俺はそう思ってます)彼女が、何故そんなことになって他の選択肢を取れなかったのか疑問でした。
でもなんとなく思うのです。晩秋の赤黒い陽光はあまりにも寒すぎる。ましてやこの後来る冬に、耐え切れなかったのではないか、と。
環境を変えるとか、友人の助けは……きっと役に立たないでしょう。自分で環境を変えられないのは精神的世界が幼児レベルまで落ちていくからで、その世界には「自分」「親」「その他」しかいないのですから。
いや、現在の俺の世界が縮小しているからこんなくだらない事を考えるのかもしれません。