歌尽くし

卒業写真(ハイ・ファイ・セット 1975)

悲しいことがあると 開く皮の表紙
卒業写真のあの人は やさしい目をしてる
町で見かけたとき 何も言えなかった
卒業写真の面影が そのままだったから


人ごみに流されて 変わってゆく私を
あなたはときどき 遠くで叱って


貴方は私の 青春そのもの

卒業(斉藤由貴 1985)

制服の胸のボタンを 下級生たちにねだられ
頭をかきながら逃げるのね ほんとは嬉しいくせして
人気ない午後の教室で 机にイニシャル彫るあなた
やめて想い出を刻むのは 心だけにしてとつぶやいた


離れても電話するよと 小指差し出して言うけど
守れそうにない約束は しない方がいい ごめんね
セーラーの薄いスカーフで 止まった時間を結びたい
だけど東京で変わってく あなたの未来は縛れない


ああ 卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう
でも もっと哀しい瞬間に 涙はとっておきたいの

春なのに(柏原芳恵 1982)

卒業だけが 理由でしょうか
会えなくなるねと 右手を出して
さみしくなるよ それだけですか
むこうで友だち 呼んでますね
流れる季節たちを 微笑みで送りたいけれど


春なのに お別れですか
春なのに 涙がこぼれます
春なのに 春なのに
ため息  またひとつ

贈る言葉海援隊 1979)

暮れなずむ町の 光と影の中
去りゆくあなたへ 贈る言葉
悲しみこらえて 微笑むよりも
涙かれるまで 泣くほうがいい
人は悲しみが 多いほど
人には優しく できるのだから
さよならだけでは さびしすぎるから
愛するあなたへ 贈る言葉

青春18伊藤敏博 1982)

花吹雪の向こうで 手を振る人がいる
やわらかな陽射しの中 涙ぐむ人がいる
泣いたり笑ったりが 時を巡らせてきた
三年ドラマも終わり 喝采で幕降りた
思い出も制服も 脱ぎ捨てて
住み慣れた 少年の日に おいてゆけ
今はただ夢だけ その身にまとい
終わりのない 旅路につけ


発車のベルに振り向く 街に灯(あかり)がゆれる
愛しい人々達よ 笑顔のままでいて
過ぎて行く昨日より 訪れる明日がいい
夜汽車は 夜から朝へと 新しい夢つなぐ


繰り返す事の出来ぬ青春よ
その街に 君だけのドラマがある
残雪に輝く山に 背を向けて
終わりのない 旅路につけ


ベルが鳴る 幕開け告げる


君の旅立ちに 乾杯