今週のSF

久しぶりに小説を読みました。

冷たい方程式―SFマガジン・ベスト1 (ハヤカワ文庫 SF 380 SFマガジン・ベスト 1)

SFマガジンに訳載された作品の中から、文庫本未収録の物を収めた短編集。
表題の「冷たい方程式」を読んでいなかったので県内の他所の図書館から取り寄せてみました。

ただ一人の乗員を目的地まで届ける片道分の燃料しか積んでいない緊急発進艇。密航者がいたら船外遺棄しかないこの艇に、もしもたった一人の兄に会うために少女が乗り込んでいるとしたら、あなたはどうしますか?
(裏表紙の説明より)

40ページの短編ながら非常に後に残る話です。イランで日本人が斬首された直後としてはなおさら。
非常に簡単な結末なんですが、これは実際に読まないと雰囲気が全く伝わらないのでネタバレしません。


短編集の中で他に面白かったのはアシモフの「信念」。

空中浮揚が出来るようになった大学教授がその研究のため著名な科学者たちに手紙を送るが、皆変人か気違い扱いで取り合わず、逆に学長から休暇を言い渡されてしまう。何とかしたい教授が打った起死回生の一手とは?

やはりアシモフは面白い。現実社会でも陥りそうな「ある種の失敗」を鮮やかに解決してみせます。

銀河パトロール隊―レンズマン・シリーズ〈1〉 (創元SF文庫)

銀河系に跳梁する正体不明の宇宙海賊ボスコーン。超兵器を操り襲撃を繰り返す彼らに立ち向かうは、銀河文明を守るパトロール隊とその精鋭、レンズマンである。新人レンズマンとなったキムボール・キニスンは、決戦に赴くべく、新兵器“Q砲”を搭載した最新鋭艦〈ブリタニア〉号で出撃する! 完全新訳で贈るスペース・オペラの金字塔!

金字塔のはずなんですが…レンズの設定以外はなんでこんなにつまらないんだろう?
後書きで訳者は「本シリーズは見事に「冒険主流」のスペースオペラから「科学・社会主流」のシリアスな本格SFに通じる道を開いた」と書いてますがトテモトテモ。出てくるのは「超強いビーム砲」「超強いシールド」「超超強いビーム砲」「超超超硬い防具」ばかりだし、話にタメやカタルシスが足りません。更に訳は直訳に近く、爽快感もまるでなし。「新種の戦艦は竜骨からそっくり再生され」って、「再設計」じゃないの?小隅黎は著名な人なんですが、老人だからもう駄目なのかなぁ。
古橋秀之サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)を買うつもりだったんですが心配になりました。